主語になれるトレーニング「主語がある」という発想に慣れるには、やはりトレーニングしてみるしかない。もっと踏み込んで言えば、単に主語が云々というだけではなく英語の根本である 「主語+動詞+その他」 という形を「体得」する必要がある。 これを別の形で表現してみると 「主体→外界」 なにやら哲学的にさえなってきたが、英語という言語は、あるもの(主体)と別のあるものや状況(外界)との関係性を常に問題にする言語なのである。 …てなことはここではおいておいて(そのうちもっとウンチクを語るつもりだが)、もう少し実践的な話をしよう。だが、よく分からなくても「主体→外界」の図式はなんとなく頭に入れておいて欲しい。 さて、実践的トレーニングのひとつのアイデア。 身の回りを見回して、なんでもいいから「モノ」をひとつ選んでみる。英語がすぐ思いつく簡単なものでいい(あるいはこの際、気になっているものの英語名を調べてみるのも面白いだろう)。 たとえば、今、私の目の前にCDがあったので、これでいいや。 そして、これについて、まずはとにかく「I 」を主語にして、文を作ってみる。とりあえず I → CD という図式を頭に思い浮かべよう。複数形とか単数形とか、冠詞とかも気をつけなくてはならないのだが、まあここでは文型に集中しておこう。 私はCDを「持っている」ので、haveが使える(haveはとりあえず、身の回りにあるものならなんにでも使えるだろう)。 それからもちろん、「聞く」。それから「欲しい」「買う」「売る」「借りる」「貸す」「壊す」「なくす」「コピーする」「作る」……etc,etc.. 主体である「私」とCDの関係性は山ほど考えられる。もちろんそれぞれを英語にする。中学で習ったことを思い出せばいいレベルの語彙でいいが、凝ったこと(?)を言いたければ辞書で調べてみよう。 I have some CDs. I listen to some CDs. I want..I buy..I sell..I borrow..I lend..I break..I lose.. I copy..I make.. I cherish CDs.(大事にする) I handle CDs roughly. (乱暴に扱う) とりあえずここでは文型(SVO)を体得するのが目的なので、単純な現在形で構わない。 だが慣れてきたら、過去形にしたり、be going toを使ったり、助動詞を使ったりしてもいい。自分の固有の事実に即した文を作ってみよう。 そういう文を作る助けになるように、ちょっとした一覧メモを作っておいてもいいかもしれない。たとえば I will ~ (~しよう←意志を表している) I'm going to~ (~するつもりだ←予定を表している) I ~(過去形) I want to~ (~したい) I have to~ (~しなければならない) I can~ (~できる) このようなメモを手元に置いておいて、種々のニュアンスの文を作る発想を助ける。 I will listen to some CDs. I'm going to buy a CD. I broke a CD. I want to make some CDs. I have to copy some CDs. I can lend the CD. etc,etc... もっと慣れてきたら、これに副詞(句)を付け加えてみよう。時間や場所、等々の付帯状況である。 I will listen to some CDs in the car. I'm going to buy some CDs[a CD] at Shinseido. etc,etc... (上級者はこれにさらに、関係代名詞や分詞を使って詳しい説明を加えてもいい。 だが、関係代名詞や分詞やらを使うにしても、文の「コア」はSVOであることを忘れてはいけない。 だからこのトレーニングは、関係代名詞などを使いこなすためのベースとして、ある程度の上級者にも役立つはずである。これについてはいずれ改めて。) もういちどまとめよう。 1)身の回りのものをなんでもいいから1つ選ぶ。 2)「自分→そのモノ」の関係をいろいろ考え、I~***の文を発想してみる。 3)事実に即して時制や助動詞の工夫をしてみる。 4)さらにプラスアルファの情報を付け加えてみる。 毎日、違ったアイテムを選んでこれをやってみるといい。ちなみに、書いたりする必要はない。 ただしご注意! あくまで、日本語的に考えたときは 「私は***『を』~する」 という意味になるべきものなので、たとえばpenをとりあげて、ペンなら「書く」だよな、と思って I write a pen. と言っても成りたたない。 ペン「で」書くのだから、 I write with a pen. と言わなければならない。「~を」書く、なら、たとえば I write a letter.「手紙を書く」 と言えるのだが。 図式で表すなら I → a letter (I write a letter with a pen.) +[pen] pen「を」どうこうするのではないのだ。 with a pen は上記で言えば(4)の範疇になってしまうのである。 前へ 次へ |